『ずっと側に居てくれるか』
『できる限り側にいるよ、ヘンリー』
『その言葉、忘れるなよ』
ふと、昨日寝る前に幼いヘンリーと交わした会話の内容を思い出す。
まさか約束って…
「薄情だな、咲良。できる限り側にいると言ったのはお前だぞ?」
ふふ、と意地悪く笑ったヘンリーは優しい瞳で私を見つめてきた。
今まで一度だって私に向けたことのないその優しい眼差しに思わず心臓が跳ねる。
ヘンリー、こんな顔しちゃう訳?
心臓に悪すぎるんだけど。
「…ちゃ、ちゃんと覚えているよ。むしろヘンリーの方が覚えていたことに驚いているよ」
ドキドキとうるさい鼓動。
それがヘンリーに聞こえていないかハラハラしながらも私は何とかヘンリーに答えた。



