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魔界へ来てもうすぐ1年。
私が帰る為に必要な契約は残すところヘンリーとの契約のみとなった。

人間界へ帰りたい。
だが、ここでの生活も悪くないと思い始めている自分がいることも確かで。
特に焦ることなく機械を伺い続けた結果が今である。

そんなある日の朝のこと。


「…お、咲良、おはよ」

「おはよ〜、咲良。今日もかわいいね」


廊下を食堂へ向かって1人で歩いていると後ろから明らかに朝帰りらしいエドガーとクラウスに声をかけられた。

2人ともそれぞれ違う場所で朝まで遊んでいたのだろう。エドガーがギャンブルでクラウスが女の子関係であることは間違いない。
オールで動けるなんて若いなぁ。

少しだけ眠たそうだが特に変わった様子もない2人に感心しながら私も2人に「おはよ」と挨拶をした。