「…アナタは誰なんですか。何で私に正体をバラしたんですか」


私は今目の前にいる魔王に違和感を覚えながらも魔王にそう問う。

魔王が私を陰ながら助ける為に姿を偽っていたのならそのことを私に隠し通せばいい。
私にそれを伝える理由なんてないはずだ。


「…咲良、敬語は辞めて。僕たちの仲でしょ?」

「…何を言っているんですか。私はアナタに敬語以外使えない立場です」

「違うよ。僕は咲良の契約悪魔で、咲良の友だち。だからいいんだよ?」

「…それはアナタではなく、ミアだったから…」

「咲良、その〝ミア〟が僕なんだよ?」


愛らしい顔だけはミアとよく似ている魔王が私の言葉をおかしそうに次々と否定していく。
私の言葉になど聞く耳を待たず、自分の言うことを聞けと言われている気分だ。


「咲良は僕に僕は誰なのかと聞いたね。僕は咲良の契約悪魔、テオだ。魔王でもミアでもない。わかった?」


私をじっと見つめる魔王はまるで小さな子どもにものを教えるように優しくそして言い聞かせるようにそう言った。