「咲良になら僕の全部をあげてもいいよ。だから咲良の全部も頂戴」

「いりません!」


人類皆きっと性別が女であるならば落ちてしまいそうなクラウスのセリフを私はバッサリと切り捨てた。

甘い笑顔を浮かべても、甘い言葉を囁いても、いらないものはいらない!

そんな私を見てクラウスは「えー。僕が手に入るだなんてこの世の誰よりも幸せで贅沢なことなのに」と残念そうにしていた。


「まあ、いっか。とりあえず契約だね」


頑な私の態度に諦めたようにクラウスが笑う。


「じゃあ契約するから空き教室にでも入ろうか」


そしてクラウスはそう言うと近くにあった教室を
適当に選んで人がいないことを確認すると私を教室の中へ招いた。