そもそも私はクラウスと同じベッドで寝ようとは微塵も思っていなかった。
むしろ床ででもいいから別々に寝ようとしていた。
だが、それを申し出ると、
『契約したいんでしょ?本命彼女なら一緒のベッドでしょ?』
と、クラウスに言われ、一緒に寝る選択を選ばざるを得なかった。
もちろん一緒に寝ただけで何かされた訳ではない。
クラウスなので隙あらば襲ってくる可能性もあるぞ、と警戒していたが、その必要はなかったようだった。
そこは拍子抜けというか意外な面でもあった。
私が本気で嫌がること、望まないことしないようだ。
「…クラウス、化粧したいから離してくれない?」
そろそろ化粧をし始めなければ朝食に間に合わない。
そう思ってもう起きているクラウスに私を離すようにお願いする。



