何とか抜け出せないかいろいろ試してみたがとうとう私はクラウスの腕から逃れることができなかった。 いや、これ、クラウス、起きていないか? 「…ん、さくら?」 「…」 クラウスが起きている可能性が頭をチラつき始めたところでクラウスの眠たそうな声が私の耳元に届いた。 …今起きたようだ。 「…おはよ、咲良」 クラウスが私の耳元に唇を近づけ、甘ったるい声でそう囁く。 「おはよう、クラウス」 朝から刺激的すぎるし、心臓に悪い。