「クラウスが私と契約をしてくれるならクラウスの1週間限定本命彼女役をやる」
「…」
私の言葉を聞いて今度はクラウスが目を見開いて黙った。
それから数秒だけクラウスは考える素振りを見せたが、答えを出したのは案外早かった。
「いいよ。咲良、可愛いし。1週間、僕の本命彼女になって、重たい女の子を諦めさせることができたら契約をするよ」
ゆっる。
ギャレットとの契約の条件はギャレットが認める同志…つまり、オタクであることだっただけに、クラウス基準の〝可愛い〟だけで契約の対象になれるクラウスの契約基準の緩さに驚く。
クラウスなら性別が〝女〟なら誰にでも〝可愛い〟を与えていそうだ。
「ありがとう、よろしくね、クラウス」
それでも交渉成立したことには変わりない。
にっこりと笑うクラウスに私は早速握手を求めた。
プレゼンを成功させ、私の案が見事通った気分だ。
「こちらこそよろしくね、僕のたった1人のハニーちゃん」
私の手を握り、美しく笑うクラウスを見て鳥肌が立つ。
ああ、やっぱり苦手だわ。



