クラウスはいつものように甘い笑顔を浮かべているが、私に見られてしまったと焦っているようにも見えた。


「…やあ、咲良」


無視をしてしまった方がいいのでは、と思っているとクラウスは甘い笑みのまま、何事もなかったようにその場から立った。


…無理があるが、こちらも大人。
とりあえずは合わせるか。


「…どうも。お昼寝?」


無理があったかも。


自分のアドリブ力のなさに頭を抱える。
これならいっそ何も言わなかった方がよかったのでは。


「…んー、違うかな。咲良、ここで僕がしていたこと誰にも言わないでくれる?」

「…まあ、うん」


クラウスが嫌なら誰にも言うつもりはないけどさ。

少しだけ気まずそうに私を見つめるクラウスに私は少し歯切れが悪かったがクラウスの要望を飲んだ。