ここからはいわゆるナイトルーティーンだ。
4年も見てきた玄関で靴を脱いで…、て、あれ?

いつものように機械的に靴を脱いで、家に入って、カバンをソファに投げて…とやりたいところだがそれができない。

何故なら目の前に広がっているのは私の家の中ではなく、全く見覚えのない薄暗い大きな部屋だったからだ。


バタンっ


私は一度扉を閉めた。


疲れすぎて帰る家を間違えたか?


そう思って家の番号を確認してみるが、扉の横のプレートに書かれてある家の番号は私の家の番号302だ。
じーっと間違いのないように注意深く見てもその数字が変わることはない。


疲れてるんだな。それも相当。


あんな幻覚を見るほど疲れているのだと自分を納得させて再び扉をあける。