「ここがお前の家だ」
「…え?」
ヘンリーにそう言われて紹介されたのは先程見たバカでかい家とは真逆のまるで倉庫のような小さな小屋で、私は先程とはまた違った意味で驚いてしまう。
「不満か?」
そんな私を見てずっと笑顔だったヘンリーの顔色が曇った。
不満ではないが驚くだろ!
だがここであまり文句は言えない。
我儘な女だと思われたら終わりだ。最初が肝心。
私はヘンリーを含んだ特級悪魔兄弟と良好な関係を築かなければ帰れないのだから!
「いいえ!カントリーな感じで私好みです!自然豊かで時間を忘れてしまいそうな素敵な場所ですね」
私はヘンリーの顔色が戻るように両手をぱん!と叩いて嬉しそうに笑った。
見よ!社会人生活4年目で身につけた社交辞令を!