「…それは辛い思いをしたね。学院に通う悪魔たち…特に咲良たちが通う基礎コースの悪魔たちは初めて学院に通う若い悪魔たちだ。異種族の君を排除したかったのだろう。ここの料理人の不始末は…どのように対処した?ヘンリー」

「料理人についてはすでに処分をした。悪意がなかったとはいえ、大事なテオからの客人に毒を盛ったのだからな」

「そうか…。学院の生徒たちへの今後の対応は?」

「咲良の身の安全が第一だ。今後も引き続き1人にしないようにし、学院の生徒たちには人間に理解を示すように話をつける。最悪の場合は俺自ら見せしめを」

「ヘンリー、すぐに手を打つように」

「ああ」


魔王とヘンリーの職務的な淡々とした会話を私は会話外で聞く。

これでいろいろ解決しそうだが、学院の生徒も料理長も少しだけ可哀想だ。
彼、彼女らはおそらくヘンリーたちの指示で動いていたのだろうから。


「咲良、これで安心だろう?引き続きこちらでの留学生活を楽しんでくれ」

「…あ、はい」


にっこりと笑う魔王に私は苦笑いを浮かべた。