絵本。

あたしはセブン、メイドのセブンです。
レイチェルお嬢さまがパソコンで、一葉の絵画を描いています。それは絵本の原画です。

「イラストと文章の本よね」
レイチェルさまは、ふとためらったのちに。
「そういえば、それって、ゲームもそうよね」
「そうですね」

あたしの記憶に宇宙船の記憶がかすかに入り混じります。友人たち。
巨大なマザーシップで暮らしていたのではなかったか。

レイチェルお嬢さまは続けると・・・

「あたしは子どものときにファイナルファンタジー4の本を読んで夢中になっていたの。
文字を読むことが楽しいと思えたのは、イラストブックでもある、ゲーム攻略本のおかげ」

とそうレイチェルさまが手を休め、ココアを飲みながら仰りました。黒いワンピース・ドレス。黒いビスチェ。

「そして今、前世紀めいた<プルーストの夢>をレイチェルお嬢さまは追っかているのですね?」
「そうよね。
つくづく無謀な目標だと思うわ」