[白亜室と形相]

二酸化炭素を固定した石材で前世紀に白亜室はつくられています。
あたしはセブン、メイドのセブンです。

レイチェルお嬢さまが白亜室で会食。
ケーキと紅茶、果物がレースを引いたテーブルにならべられます。

「そういえば、彫刻は石から研磨されたものね」
「はい」
レイチェルお嬢さまは指を記し上げると。
「たしかにむかし、本で読んだ記憶があるのよ。
美術史だったかしら。

石のなかには、彫刻というイデアがある、という議論」

「哲学ですね。
形相(けいそう)質料(しつりょう)だと思います」
「そ。
で、何かしら?」
「我々の世代は人文知識には疎い世代ですからね」