私の生きがいは、三歩先の不運を予想すること。鳥の空からの落とし物には常に日傘で対応しているし、ワイングラスを手にした人からは十歩以上離れるようにしている。

 運もなければ縁もない。適齢期なのだからそろそろ結婚を視野に入れなさいとお父さまは言うけれど、縁だって運の親戚のようなものだ。不運を着て歩いているような私に、素敵な縁が回ってくることもなかった。

 できればどこか老齢の貴族の後妻にでもなって、余生のような日々をおくりたいと願っている。

 三歩先の不運を回避した先に待ち受ける不運がこれほどのものとは、このときの私は思ってもみなかったのだ。