ベッドに放り投げられていた宵くんのスマホが鳴る。
ベッドを背もたれにして隣り合わせで座っていた宵くんが上半身を捻ってスマホに手を伸ばした。
ボタンを押して、通話が始まる。
聞きたくないけれど気になってしまって、気持ち少しだけ 電話の声に耳を澄ます。
「はい?……あー、うん、うん。今から?あー…今日は、」
今日は。
そこで言いかけて、宵くんがわたしを見る。
どくん、どくん。
ヤダヤダ。その電話の相手、絶対絶対「せふれ」じゃん。だって女の人の声だったし。「今から会お?」って聞こえたし。
なんでわたしって聴力良いの、最悪。
今から行くのかな。わたしと会ってるのに、わたしが今宵くんの時間を貰っているはずなのに。
今まではこんなにモヤモヤしなかった。部屋の窓から宵くんが「せふれ」を連れて来ていても何も思わなかったのに。
いやだ、今日はまだ、行かないで。



