宵くんのずるいとこ。
自分はいつだってバンバン冷たくするくせに、わたしが離れようとすると絶対逃がしてくれないところ。
「ゴミ!拾うから!」
「……あ そう」
パッと手首を離されて、入れ損ねたゴミを拾って捨てる。ゴミ箱から宵くんが居るベッドまでは多分、1mくらい。
スマホを閉じてテーブルに置いた宵くんと目が合って、「にーの」と さっきより甘い声で呼ばれた。
「仁乃、こっち」
「い、行かないもん」
「なんで」
「宵くんがスマホばっか構ってるから」
「大学の授業のことで友達と話すことあった。でも終わったから、もう必要ない」
「うっ、でも」
「でも、何」



