「なんでお前は毎日毎日そんな言い方すんのかなぁ」
木暮が呆れてため息を付く。そんな言い方じゃない、おれが思う事実を述べただけだ。
そう、それだけ。
「うっせぇよ」と返せば、「早いとこ眼科いけよ」と言われた。おまえが行けよばぁか。
「木暮くん…!いいの、紘ちゃんはほんとのこと言ってるだけだし……」
「いや絶対紘がおかしいだけだけどね?仁菜子ちゃん、健気過ぎて俺は母性が止まらない」
「木暮ふざけんなだまれ」
「ただの幼なじみが一丁前にうるせーよ」
うるせーよ、分かってるよ。
おれと仁菜子は幼なじみで、それ以上も以下もない。だからいつも、誰かの口から「雪永」と聞いてイラついてるのもおかしな話なんだ。
だけどでも、だからこそ、おれはこいつを可愛いと"思いたくない"のかもしれない。
おれはほかのやつらとは違う。仁菜子のことを可愛いと思ったら負けだと思っている自分がいる。
意味わかんねーよ、まじで。