「雪永さん、彼氏いないって噂なんだよなぁ。俺マジでそろそろ立候補してえ」
「もっと真面目で誠実なやつしか似合わないだろ。白馬に乗った王子とか、リアルにそのレベル」
「じゃあとりあえず明日から模範通りに制服着る」
「わろた、絶対職員室で話題にされんぞ」
むかつくむかつく、あーあ、あいつら全員前世は虫かな。そうだ、きっとそう。いや、それでしかない。だからそんな会話が出来るんだろ。
お前らごときが制服を正しく着たって、白馬に乗って現れたって、あいつのタイプにはなれない。
ぐしゃり、ぐしゃり、
何口飲んだかも分からないコーヒー牛乳のパックがどんどん潰れていく。
「何食ったらあんな可愛くなるんだろ」
「人骨とかだったらどうしよ」
「だとしても可愛すぎてもはやなんでもいいわ」
うるさいうるさい、だまれ、喋るな。
あいつは、
雪永 仁菜子は、
おれの───………
「紘、それもう限界まで潰れてる」
「……チッ」



