仁菜子はバカだ。おれなんかと幼なじみで、おれなんかとずっと一緒にいて、おれなんかを好きになってる。

こんなくそ面倒くさい男好きになるなんて、全然見る目ない。



「、ばぁか」




上手くいってもダメになっても、おれたちは"男と女"だ。どちらにせよ、もう幼なじみには戻れないんだと思う。



​───だったらもう、






「……仁菜子は、かわいいよ」





こいつは最初から可愛かったって、認めてしまったほうがいい。


仁菜子はバカで、おれもバカ。

長い間『お互い様』だった、それだけの話。