「……え」
「本当は誰かと付き合ってる？だれかに本気で迫られたりしてる？佐藤とか鈴木とか、よく仁菜子のこと本気で狙いたいとか可愛いとかって言ってんの。なぁ、可愛いと好きって、お前にとって同義？」
「え、え、紘ちゃん、」
告白ってこんなに緊張すんのかよ。
ずっと、おれには縁がないものだと思ってた。
恥ずかしさを隠すように突然饒舌になったおれに、仁菜子は顔を真っ赤にして動揺している。
ふるえる声で、「紘ちゃん」「まって、まって」とまるで自分に言い聞かせるようにブツブツと呟いていて、そんな彼女に何を言っていいのか おれもまた分かっていなかった。
「あの、あのね…っ、紘ちゃん、」
潤んだ瞳がおれを見つめている。
ああぁ、なんでそんな泣きそうな顔してんの。おれ、またなんか間違ったかな。泣かせるくらいなら この気持ちには気づかない方が良かったんじゃないか。
「わ、わたしはずっと紘ちゃんにとって お荷物なのかなって……思ってた」
「…、はぁ？」
「……これ以上嫌われたくなくて、だからせめて可愛くなりたくて…」
俯いた仁菜子が ぽつりぽつりと言葉を紡ぐ。
仁菜子が隠していた本音を、初めてちゃんと聞いたような気がした。
