教室の窓際に集まる男子生徒が3人。



至って平凡な公立高校の中では、わりと「不良」に近いのかもしれない。

1人は窓に身体を預けていて、1人は椅子に座って足を組んでいる。もう1人は、椅子の背もたれを抱きしめるような形で座っていて、そこに顎を乗せていた。




高校じゃ一般的に何処ででも見られるような光景。

そして、そこで繰り広げられている話題もまた、きっと何処ででも見られるものなのだと思う。




「雪永さん、ぜったい処女だと思うんだけど」

「バッカおまえ、雪永さんに処女とかセックスとかホテルとかセフレとかそういうワードはダメだろ」

「そこまで言ってねえ」

「とにかくなんかこう……神聖な感じの言葉で、逢瀬とか言わないとダメな気がする」




男子高校生の当たり前。健全な会話。

誰が可愛いとか、誰と付き合いたいとか、最近いつセックスしたとか、誰で抜いてるとか。


まじで、ほんと、おれが引くほど興味の無いことで盛り上がるのが健全な男子高校生らしい。



じいっと見つめる……いや、ギロリと睨むおれに、「紘って睨みで人殺せそうだよな」とまるで他人事みたいに木暮が言った。




ばぁか、殺す気で見てんだよ。

雪永雪永って、神聖だと思うなら簡単にその名前を呼ぶなっつうの。