「お前らのはさ、もう恋なんだよ。なんか……やっぱ拗れてんの。なんつーの、ええ、もうそれ以外に言葉が見当たらない。お前らに 焦れキュン♡とか求めてないわけ俺は」
「何の話だよ。焦れキュンってなに、キモイな」
「おまえなぁ……」
「……仁菜子は付き合うとかじゃない」
付き合うとかじゃない。あいつは幼馴染みで、全然可愛くなくて、おれに可愛いって言われるために頑張ってるだけ。
恋とか、拗れてるとか、そういうもの生じていない。
「うーん……けどまあ、気付いてないとか分かってないとかじゃなくさ、紘は仁菜子ちゃんから逃げてるだけなんだろうな」
机の上にパックが凹んだぶどうジュースを置いた木暮がいう。
木暮のいう言葉が何だかムカついて「あ?」と返せば、「顔がこわいよぉ」と気持ち悪い声色で言われた。
おまえの発言がそういう顔にさせたんだっつうの。