「でさ、紘」

「んだよ」

「俺は常々思ってるんだけどさぁ」

「早く要件を言ってくんない」

「紘と仁菜子ちゃんはなんで付き合ってないのかなー」




翌日、昼休み。

ニコニコと笑みを浮かべる木暮は、机に頬杖をついておれを見つめてくる。なんだその笑顔、気持ち悪いな。




「仁菜子ちゃん、紘のこと好きじゃん。見てて不憫なくらい一途にお前のこと好きじゃん」

「さぁな」

「さぁなじゃない、そうなんだよ。俺だったらぜったいお前なんか好きになりたくないけどな。面倒臭いし拗らせてるくせにその自覚ないし、はあ凄い、ねえわかる?紘ってけっこう面倒臭い男だよ」

「悪口じゃねえかよ」

「悪口言いたくなるくらい拗れてんだよ!主にお前のせいでな!あー!仁菜子ちゃんが可哀想で俺が泣けるわ!」




声を上げた木暮が、飲んでいたぶどうジュースの紙パックを握りしめる。

中身が飛び出ないように力加減を調節したのか、紙パックは少し凹んだくらいで原型を留めていた。