熱はなさそうだった。


「せ、聖君……」


「本当に寝不足っぽいね。でも、由妃。いくらその漫画が面白くても、夜遅くまで読んだらダメだよ?寝不足は身体によくないし」


「う、うん。これから、気をつけるね」


俺の忠告に頷いた由妃。


様子がおかしいのは変わってないけど。


とりあえず、大丈夫っぽい。


「おーい、2人だけの世界に入らないでよ」


「あ、えっと。す、すみません。先輩方、おはようございます」


「おはよう、由妃ちゃん!」


「由妃ちゃん、おはよう」


「おはよう、白嶺」


黎達と接している由妃はいつも通り。


本当に何なんだ……?


不思議には思ったけど、特に気にしなかった。


まぁ、時間が経てばいつも通りに戻るだろうと思ったから。


――思えば、この日からだった。


由妃の様子がおかしくなったのは。





「由妃」


「えっ、あ、せ、聖君。な、何?」


俺としては呼んだだけ。