目が覚めると紘の部屋のベッドで寝ていた。
ベッドと机。それぐらいしかない殺風景な部屋。
昔から全く変わってない。
配置も小学生の頃、そのまんま。
唯一変わったと言えば、小さな勉強机じゃなくなった事。ベッドがあの頃よりも大きくなってしまった事ぐらいかな。
部屋は相変わらず広いけど。
驚くほど広いのは幾つになっても同じ。幼かったからとか、身長がとかそんなのじゃなくて、本当に広い。
だって紘は…坊ちゃんだもんね。
だから紘の部屋が”二つ”もあるんだよね。
もう一つの部屋には、私は一度も入った事無いけれど。小さい頃、羨ましいってちょっとだけ思った事があったなぁ…今は凄いなぁ、としか思ってないけど。
「起きたのか」
「…ひろ!?」
紘が見当たらず、起き上がろうとしたその時。
背後から抱き寄せられた。
どうやら一緒にベッドの中にいたらしい。
「い、いつからいたの?」
「……最初から」
全然気が付かなかった…!
「どれぐらい寝てたかな」
「……三時間は掛かってない」
…大体三時間って事?
「起こしてくれて良かったのに。これじゃあ、勉強も出来ないし…」
「……俺が寝たかったんだよ。勉強はいつでも教えられるしな」
紘が?…疲れてるから、かな。
紘の体に包まれて温かい。
まるで湯たんぽみたい…。
だからずっと寝てたのかも。


