白鳥学園、いきものがかり




────────いや、
近付いた、というより。

引っ張られる方が早かった。


「きゃ…!?」


前のめりになる私の身体を支える紘。
そして、そのまま私の耳元で囁いた。



「ここで俺が眼鏡を外したらどうなる?」



……ここで?


「な、なに言ってるの?」


こんな大勢の、しかも女性客の多いこんな場所で。もし眼鏡を外せばどうなるかなんてわかり切ってる。

あの”ヒロ”がここにいる。

もしそれがネットに拡散して、変装した姿もバレてしまったら。


「駄目だよ。そんな事したら…」

「紬の傍にはいれねぇだろうな」


ビクッ…。
乾いた笑いと一緒に言われた言葉に揺れた。


「ああ、でも…俺が居なくてもあいつ等がいるから別に気にしねぇか」

「っ、なんでそんな事言うの…!」


………あっ、


紘の手を振り解こうとしたが止まる。
ズキンと頭に痛みが走った。

ふらりとした私の身体を紘が抱えた。