「………っっ、」
私は口元を抑えた。
視線はケーキを向いたまま。
あ、甘過ぎ…る。
糖分を一気に取り過ぎてしまったみたい。
冷静に考えれば、当たり前の事だった。
プリン一つまともに食べれない人間が、ショートケーキ一つ食べきれるわけがない。
………うぅ…もう、食べれない。
でも食べないと。折角紘に奢ってもらったんだから。それに、残すなんて事したくない…!
ちょびっと。かなり小さくクリームをすくい、口の中へ。
………うう…段々気分が悪くなって来た…。
自分自身で分かるぐらい青ざめてきた頃。
目の前で頬杖を付いていた紘が、無言でケーキと私の持つスプーンを持って行く。
「ひ、ひろ?」
訳も分からず、首を傾げると紘も同じく首を傾げた。
「もう十分なんだろ」
「そうだけど…」
「なんだよ?」
当たり前のように食べようとする紘。
「食べてくれるのは嬉しんだけどね…えっと、スプーン…」
「あ゛?」
「新しいの貰って来るよ」
使おうとしてるそれ、私がさっきまで使ってたやつだしね。


