「ああ、言ってねぇしな」
「はあ!?なにそれ!」
「…どういう事だ」
な、なんか…二人共凄く怒ってない?
「どうしたの?翔、凪…?」
…もしかしてお休みが羨ましいって事とか?
「…っ、紬ちゃん!今日行かないで!」
「紬、それは俺も賛成です。行きませんよね?」
そう言って抱き着こうとした翔と、手を伸ばしてきた凪を振り払ったのは紘だった。
「触んな」
そう言って二人を睨んだ。
「紘!どうしていつも!」
紘はいつもそうだった。
みんなに対して当たりが強いのだ。
言葉遣いも、態度も。
今のだって、二人の手が赤くなってる。
紘が思いっきり、躊躇なく叩くから…。
私は二人に手を伸ばそうとしたが、紘に掴まれてしまう。
「紬は俺のもんだ。勝手に触んな。
紬も俺以外に簡単に触れるんじゃねぇ」
少しずらされた眼鏡の隙間から紘と目が合った。
真剣な眼差しに一瞬ドキッ。
その視線は私から二人の方へ。
「簡単に渡すと思うなよ」
キーン、コーン…、
二時限目のチャイムが鳴った。


