────────パチパチパチ。
動画を見終え、拍手が止まらない。
「そんなに拍手しないでよ。恥ずかしくなっちゃう」
だって…。
「カケルが沢山出て来て嬉しかったの」
カケルメインの新曲は、あざとかわいいを残しつつ、王子様感のあるPVだった。
「かわいい翔も好きだけど。かっこいい翔も好きだよ」
ベッドの上で体育座り。膝に頭を乗せて、翔に向かって微笑んだ。
翔は目をぱちくりさせた後、同じく微笑んで口を開く。
「僕も好きだよ。紬ちゃんの事」
手が頬に触れた。
宝物を触るかのように優しい手つき。
翔の親指が摩る度に片目を瞑り眠気を誘う。
…ああ、もうだめ。
瞼が重くなってきた。
「紬ちゃん、眠たい?」
「んっ…」
目を擦ろうとした手を翔に掴まれた。
「だーめ。目腫れちゃうよ?」
…目、痒い。
ムズムズするよ。
「もー、こっちもだめー」
バレちゃった。
もう片方の手でしようとしたら、その手も掴まれてしまった。
んんー…、ムズムズする…。
「そんなに痒いの?」
「んんー…」
目薬しようって言われそう…。
目薬は好きじゃない。
だって、目に入る時少し怖い。
…でもしないと駄目だよね。
もう高校生になったんだし。
「目薬…、」
「僕が痒いの止めてあげる」


