「え、っと…雲雀 紬です。挨拶が遅れてすみません」
先輩なのに。
失礼だったかな。
「い、いや!俺もごめん!急だったから吃驚したよな!?」
近い距離なのに、声が凄く大きい。
耳がビリビリしてる。
正直私の苦手なタイプ。
…でも、翔と紘は大丈夫。
嫌いじゃない。寧ろ大好き。
狛犬先輩が私をジッと見た。
「…先輩?」
何か、変かな?
ちゃんと制服着てたつもりだったんだけど…それとも顔に何か付いてたとか?
でもトイレの鏡見た時はそんなに変な感じじゃなかったけど。それに何もついてないと思ったけど…?
「やっぱ、俺のどストライク…!」
急に野球の話をし始めたかと思ったら、もっと私の近くに寄って来た。距離の近さに驚く。
「俺、ここらじゃ結構有名で………、」
一歩、私に近付いた時だった。
…ふわり。
灰色の匂いが、鼻を通ったのは。


