白鳥学園、いきものがかり



私は無言で左右に首を振った。
付いてきてもらうのが恥ずかしかった。


「大丈夫…ちゃんとポーチも持っているから」


見せびらかすようにポーチを自分の顔の隣に持ってくる。

だけど、二人は付いてくる気満々。
しかも傑と凪だけではなく。


「あ?具合わりぃのか?俺も行くから待ってろ」

「紬ちゃんの傍に居ないと心配だから、僕も行くよ」

「俺も、不安だから、行く」


…一斉に来られても。



「お前らいい加減にしろ」



困り果てる私に実くんが怒鳴った。


「雲雀、行ってこい。

ここから二教室過ぎた所が一番近い。
階段を登る必要もないからな。

ただ寄り道せず、直ぐに戻ってこい」


こくんと頷いて、足早に教室を後にする。

その後に響くのは実くんの怒鳴り声だった。
…きっと五人には何も届いていないのだろうけど。