言い争いが絶えない内に。
私が大きな声を出した。
「あ、あのね!」
叫んだ事でまたくらっとしたが、翔がずっと抱きしめてくれていて倒れる事は無かった。
全員の視線が私の方へ。
「私一人で帰れるから!大丈夫だよ!」
そんな言葉は勿論『却下』で…。
全員同時の台詞でかき消された。
確かに一人じゃ帰れないと思う。
でも…そんな即答しなくても。
言おうとしたけどやめた。
いや、辞めざるを得なかった。
「ッ…、」
「紬ちゃん?」
口を抑える私に翔が驚く。
────────吐き気がした。
薬を飲んですぐに動き回ったせいかも。いつもはジッとしてるのに…今日は忙しなかったから。
「……ご、ごめんね。ちょっとトイレ行って来る…ね?」
「俺も一緒に行く。その方が安心するだろ?」
「俺も一緒に行きますよ。紬一人では心配ですから」
翔の体をすり抜け、廊下に出ようとした時、傑と凪が言った。


