頭痛もめまいも収まった。呼吸も安定している。

…薬ってだけで安心してるから、効きやすいのかも。


「紬ちゃん?気分はどう?」


翔の手が私の頬に優しく触れた。
擦る度に左目を閉じる。


「大丈夫。さっきよりも辛くないよ」

「無理そうなら言ってね?僕が抱っこするからね」


そこまでは大丈夫だと思うけど…。


ゴホンッ!


大きな咳払いが実くんの方から聞こえる。



「雲雀の体調が心配だ。帰りは俺が送っていく。お前等はもう帰れ」



…実くんが?

五人は不服そうな顔をした。


「なんで?俺、紬と帰りたい」


累に続けて紘が口を開く。


「センコーが生徒連れまわしていいのかよ」


「緊急事態だ。雲雀の体調を考慮しての行動だ。問題はない。

お前等は元気が有り余っているようだし、
何より俺の車は五人乗りなんでな?

お前等は自力で帰れ」


そう言って立ち上がり、私の前に手を差し出した。


「帰るぞ」

「え、っと…」


私は出来る事なら…みんなと帰りたい。

でもそんな体力があるだろうか?