「紬!!」
紘の大きな声が響き、身体を震わせた。
離す私の手首を紘が強い力で掴む。
「なんでコイツの家に来た?」
「っ……、凪が心配で…」
紘もそうだったんじゃないの…?
「俺よりもコイツの心配?俺だって紬から引き剝がされたんだぞ。俺の方が心配になるだろ普通は。なぁ紬?」
病院での事が浮かぶ。なぎ倒された点滴と抜けた注射針。
っっ……、
「帰るぞ、紬」
「っ、紘…離し、」
掴まれたままの手首がズキズキして痛い。引かれる手も全部痛む。
「汚い手で俺の紬を触るな」
私の身体を抱き寄せたのは凪だった。
紘の低い声がして、凪が思いっきり殴られる。
「きゃあ…!」
「俺の…だと?違う。紬は俺のだ。お前のじゃねぇ」
唇を切ったのか血が垂れる凪と、拳が赤く腫れている紘。どちらもお互いを睨んで、今にも殴り合いが始まりそうだった。
なんで…なんでこんな事になってるの…?
私は凪と紘の間に入った。
紘に向かって手を広げる。
「紘…やめて!暴力しないで…!」
「俺は悪くねぇ。悪いのはソイツ。俺の紬に触るからだ」
「どうして…どうしてそんな事ばっかり言うの、紘…?」
いつもの紘ならそんな事言わない。私が他の誰に支えられようと、抱えられようとも…何も言わなかったじゃない。確かに紘はすぐ怒るけど。そんな事ばかりでは怒らなかったじゃない。
紘は表情一つ変えず、
「紬は俺の物で。俺も紬の物だからだろ?」
と言った。


