チッ、と聞こえた舌打ちの後で。


「そんな時、来るわけないじゃないですか。…紬と離れるなら死んだ方がマシ」

「…凪?」


一瞬、小さく聞こえた声と。
空気が張り付いたような気がした。

凪が微笑み、傑から薬を一錠奪い取る。



「口を開けてください」

「自分で飲める、」



グラリ、
視界が揺れた。


……あ、あれ。
薬ちゃんと飲んでるのに。

頭痛とめまいが襲ってくる。


「早く口を開けてください。これ以上酷くなりたくないでしょう?」


体を支える凪が耳元で囁いた。
私は頷く事はせず、真っ先に口を開けた。


今、とても気分が悪い。


舌の上に乗せられた薬とストローの先。


苦いのは嫌い。

でもこの時間は粉薬じゃないからまだいい。


ごくん。


「……はぁ、」

「紬、もう一錠ある。口開けろ」


傑に言われ、また口を開けた。
…うう、こっちのはちょっぴり苦いから苦手。

薬を飲んだ後もまだ少し頭が痛いけど、ちゃんと飲んだからきっと直ぐに収まる。だから少しの辛抱。