累が勢いよく紘の頬を殴った。私は傑に抱き寄せられ、掴まれていた腕を優しく撫でてくれた。
「紬、落ち着いて」
「ふっ……ふぅ…はぁ…、」
目尻に溜まる涙。苦しい呼吸。
傑の優しい声と触れる手が気持ちを落ち着かせてくれる。
「…にすんだ…累」
「それはお前だろ」
赤く腫れた紘の頬と冷ややかな目で紘を見下す累。
「紬泣いてるよ。怪我もした、悪化した…全部紘、お前のせい」
「俺のせい?違う。俺じゃねぇ。お前等のせいだろ?紬がこうなったのはお前等が全部悪いんだよ」
「鰐渕…お前頭可笑しいんじゃないか?」
「っ…傑!!紬に触んな!」
紘が私に向かって手を伸ばす、が私はそれを拒絶した。
────────触れる前に傑にしがみついていた。
「……あ゛?」
痛い……苦しい…怖い…。
ズキンズキンと継続的な痛みは頭にも。呼吸がまだ乱れていて話すことが出来ない。………紘が怖い。
「…紬、何やってんだ?」
「……見て分かるだろう?紬は今呼吸を整えてる」
「うるせぇ!!俺が言ってんのはなんで俺じゃなく、傑なんかに抱き着いてんのかって聞いてんだよ!!離せ!俺のだ!俺の紬だ!てめぇらが勝手に触って良い訳がねぇんだよ!!」
その言葉の後、累がまた紘を殴っていた。
「お前、五月蠅い」
そう言うと累は私の所へ来ると、私の頬を包みこんだ。
「紬、大丈夫。怖くない」
「もうすぐ医者が来るだろう。紬は何も心配要らないよ」
………傑、累。


