…っ、
「スグルは今、凄く名の売れた俳優なの。それは分かるでしょう?」
「は、い…」
「だからこそ今のうちに更に名前を売らなきゃいけないの。芸能界は入れ替わりが激しい所なの、今売らなきゃどんどん新しい人に興味が向いてしまう…そうなる前に”スグル”の地位を、確立させないとならない大事な時期なのよ。
それなのにスグルは…、貴女ばかりを優先して仕事を後回しにしている。
最近じゃ、同世代の”ヒロ”に人気を持って行かれているの。
今流行りの映画知ってるわよね?あの映画が大ヒットしたお陰で、ヒロの人気が更に上がってきている。
────────本当はその映画はスグルが主演の予定だったの。
でもスグルが何度も仕事を後回しにするから、監督はヒロを代役に決めたのよ。
貴女を優先にしたせいで」
腕を組み、キッと睨み付けてくる卯西さん。
広く冷たい病室に響く怒りの声色。
「貴女のせいでどれだけの仕事が白紙になったと思う?」
「す…すみ、ませ…」
「病弱なのは仕方が無い事だと思うわ。そう言う体質だもの。治せ、だなんて言えば私の方が変な目で見られるもの…。でもね、だからと言って、スグルを占領するのは違うと思うわ。
もう貴女だけのスグルじゃないの。
貴女の行動一つでスグルの芸能界でのキャリアが一気に転落する事だってあるの」
力強く握る真っ白なシーツ。淡々と話し続ける卯西さんの言葉が心に刺さる。
「それに…貴女ばかりを優先するせいで、私との時間が取れないのよ」
「……え?」
卯西さんとの、時間?
それってどう言う意味…?
卯西さんまた溜息を吐くと、
「私とスグル、付き合っているの」
そう言った。


