傑が病室を出て暫くして看護師さんが来てくれた。
私を大きな病室へ移動してくれるらしい。
「彼、貴女の彼氏さんかしら?」
「へっ…?」
車椅子を押されながらそう言われた。
「彼、芸能人に似てるわよね?えっと名前は確か…スグル?だったかしら?」
似てると言うか本人ですけど…。
みんなが口々に言う「意外とバレない」ってこういう事なのかも。
こんな所に居るわけないって先に考えちゃうんだね。
「え、えっと…彼氏じゃなくて、幼馴染みなんです」
「あら?そうなの?だとしたら…ふふ、とても大事にされているのねぇ」
看護師さんは口元を抑え笑っている。
微笑ましい、そんな様子で。
「貴女が運ばれて来た時、同時に低血糖も起きていたの」
「そうだったんですか?」
そんな事一言も言ってなかったのに。
「彼が貴女を抱えてすぐに処置室に入って来てくれたから、症状が酷くなる前に対処出来たの。
まあ、私達看護師に睨みながら”邪魔だ”なんて言って来たのはちょっと怖かったけどね」
「それは…すみません」
「ふふ、いいのよ。寧ろ私達看護師が五人がかりで運ぶよりもスムーズだったと思うわ」
看護師さんはそう言ってまた笑った。
低血圧気味だったのかもしれない。だから喘息の発作も出て、低血糖を起こしたのかもしれない。
……また迷惑掛けちゃった。傑にも、凪にも。


