懐かしい匂いがした。
入退院を繰り返していた頃の匂い。
ぱちっ…、
目を開けてすぐにここは病院なのだと分かった。
…点滴、されてる。
久々だからかな?ちょっと痛いかも…。
白い天井を見ながらぼぅっと考える。
あんなに苦しくなったのは久々だった。吸引器じゃ対応しきれないぐらいなんて…きっとママとパパが知ったら心配しちゃう。
シャッ!
突然仕切りカーテンが開いた。
吃驚してそこに顔を向けると女性の姿。
…あ、この人は。
グレー色のスーツと赤縁の眼鏡。
首から下げているのはテレビ局の社員証。
そこには”卯西 美咲”の名前。
スグルのマネージャーさんだ。
…いつ見ても綺麗な人。
彼女と目が合う。
少しすると、彼女はふぅっと溜息を吐き振り返った。
「スグル、起きたわよ」
その言葉の後にカツカツと向かって来る足音。
安堵した顔で覗き込んできたのは傑。
「おはよう紬」
「お…はよう、」
微笑む傑は私の頭を撫でた。


