怪訝な顔になる傑。


心配してくれてるんだよね?
…分かってるよ。


パパとママは私の誕生日に休めるように、毎日必死に仕事をしていて、朝は早く、帰りは遅くなっていて。

みんなが心配していつもより早く家に来てくれて、いつもより長く家にいてくれる事も。


全部全部…私の為だって事。



「…紬」

「知ってるよ。今日は撮影、あるんでしょ?」



眉間にしわを寄せる傑の手には携帯。
きっと今から電話するつもりだったんだろう。


私の為に、休むと言うつもりだったんだと思う。



「お仕事頑張ってね」


「……紬を一人にするわけないだろ」


「ありがとう…でも、行かないと駄目だよ。

…私、スグルの演技見るの大好きなの。
だから見れないのは寂しいよ」



最近、私に合わせてばかりで仕事を後回しにしてるんでしょ?

これ以上迷惑掛けて、スグルに影響が出るなんて。そんなの嫌。



身体を起こす仕草をすると、直ぐに支えてくれた。

本当…目が沢山付いてるのかな、ってぐらいすぐ気付いてくれる。

傑だけじゃない。
みんなも…。


傑の手を握り微笑む。



「私は大丈夫。心配しないで?」

「っ…、生気の無い顔でよく言う…」



そう言って、私の身体を抱き寄せた。