桃色の花びらがひらひらと私の横を通り抜けた。

少しだけ大きい真新しい制服に身を包み、高鳴る鼓動に深呼吸。



16回目の春が来た。
私は今日から高校生になる。

そんな実感が沸々と湧いてきた。



私立白鳥(しらとり)学園、入学式。



人混みの中、ようやく来れた特等席で名前の書かれた紙を見上げる。



——————雲雀 紬(ひばりつむぎ)、1年A組。



自分の名前を発見して思った事は、「友達が出来るかな」とか、「友達と離れた」なんかじゃなかった。


良かった…A組だ…!


張り詰めていた緊張が解け、安堵の溜息を吐いた。

A組は一階だけ登ればすぐ目の前が教室。それ以外のクラスになると廊下端の方まで歩かないといけない。

だからこそ、A組でないといけなかった。



「今度こそ…ちゃんと通えたらいいな、」



黒く長い髪が春の風で靡き目を細めた。


今日は凄く調子がいい。
これなら入学式も受けられそう。


ようやく、ここまで身体が強くなれたのだから。

なんとしても通わないと。
私の為…そして大切な幼馴染と一緒に通う為。


その夢がやっと叶いそうだから——————、