3年間、あたしはこの部屋で1人の男を飼っている。


手足を椅子にくくりつけられ身動きの取れない男の太ももへ、あたしはアイスピックを突き立てた。


男はガムテープで塞がれた口から低いうめき声をあげ、涙の滲んだ目をこちらへ向けてきた。
助けを請う顔は、ひどく醜い。


眉間によせられたシワ。


やめてくれと、必死で左右に振る首。


3年間洗っていないベタベタの髪が、あたしの腕に当たった。


長く伸びきた髪の毛が男の醜さを倍増させていた。


あたしは、再びアイスピックを振り上げた。


男の血走った目が見開かれ、カタカタと身震いを始める。


そう。


あたしはこの表情が好き。


涙なんて流す暇もない、恐怖に固まるこの顔だ。


男は恐怖に耐えきれず、その場に失禁した。


アンモニアの匂いが、ツンッと鼻孔を刺激する。


この匂いは、嫌いじゃない。


人間らしくていいじゃない。


そして、あたしは男の太ももにアイスピックを突き立てた。


今度は、容赦しない。


突き立てたアイスピックを即座に引き抜き、そして再び突き立てる。


何度も何度も繰り返すたび、男はビクビクと体を痙攣させた。


同じ場所ばかり攻撃すると、傷口は徐々に広がり、にじみ出る血はどす黒さを増していく。


肌の形はいつの間にかなくなり、突き立てるたびにひき肉を混ぜる時のような、クチャクチャという音をならした。


男が二度目の失禁をしたとき、部屋のドアが開いた。


あたしはハッとして、動きを止める。


部屋の入って来た大柄の男が、あたしの腕をつかみ、ひきずるようにして隣の部屋へと移動した。


そして、いつもの場所に立たされる。


あたしは、何も言わずに上半身裸になった。


途端に現れる、上半身の赤黒くくすんだ無数の傷跡。


男は、ダーツの矢を持ち、構えた。





あたしはここで男に飼われている。


もう5年も前から。


あたしがここで男を飼い始めたのは、飼われる生活のストレスを少しでも発散するため。


トンッと軽い音がして、あたしの体にダーツの矢が刺さった。


明日はどんな事をして遊ぼうか。


感情を殺した頭の中、あたしはそっと微笑んだ。