「そういえば、こないだ篤さんと少し話した」


平然を装い、その名前を口にした。


篤さんの名前をそうやって呼んだだけで、
私はドキドキとしている。



「篤さん、元気?」


篤さんの名前を聞いた兄は、とても嬉しそうで。


兄には、以前同じ会社に篤さんが居る事を話していた。


それを聞いた兄は、それに驚いていた。


そして、今は篤さんとは全然連絡も取ってないとか言っていたっけ。



「お兄ちゃん、篤さんのLINE知ってるんでしょ?
全然連絡取ってないとか言ってたくせに」


「え、ああ。
一応ともだちにはなってるけど。
俺も篤さんも昔から番号変わってないから。
でも、メッセージとかのやり取りは全然」


篤さんもそんな感じの事を言っていたな。


「でも、私から篤さんが同じ会社に居るって聞いて。
そうやってLINEで繋がっているなら、連絡取ってみようとか思わなかったの?
妹から聞いたんですけど、的な感じで」


私なら、そんな偶然があれば、
その相手にそうやってメッセージを送るかもしれない。


もしかしたら、女である私とは違い、男である兄は、そんな風には思わないのかもしれないけど。