「実は……ずっと前から好きなんだ。こんなことをして拒まれてないのが信じられない」
「……それ、今言うの?」
このタイミングで告白って。
……いや、見ていたなんて言われた時点で告白じみたことはされていたわけなんだけども、それでも『えっ、今?』感が拭えない。
「言っておきたかったから。気を悪くしたならごめん」
「嬉しくなることはあっても、嫌な気持ちになることはないから安心して」
「それなら良かった」
ぎゅうっと込められる力にほんの少し圧を感じるけども、決して嫌ではない。
それだけ彼の気持ちが伝わってきて、心地いい気分になる。
「私はまだ、好きって気持ちがわからないの」
「…………」
「……だけどね。君のことをもっと知りたいと思うし、こういうことをされるのはとても嬉しいよ」
無言で抱きしめてくる君は今どんな顔をしているんだろう。
ガッカリした後、喜んだだろうか。
全ての表情を見られないのが惜しく思う。
「だから、明日からも君の隣にいてもいい?」
「……むしろいてくれないと困る」
その言葉で、意味のなかった日々が、急速に意味を持つものへと変わっていく。
明日からの彼との色付いた日々を送るために、今まで色のない時間を過ごしていたんだ。
そう思えるほどに、彼の言葉は私の心を満たした。
「ありがとう。これから、よろしくね」
「こちらこそ」
こうして彼との繋がりを確かめ、ふと、彼の後ろにちらりと目をやると。
土砂降りだったはずの雨はあがり、遥か遠くの空に大きな虹がかかっているのが見える。
……この世界は私の新しい門出を祝ってくれているのかもしれない。
今、この瞬間から過ごしていく彼との時間に期待で胸を膨らませた。
【END】



