「とは言っても、私たちは人を疑うのが商売だからなぁ・・・」

「とにかく、もう一度、その猫を、あの家へ連れて行き、ようすを見てみようか」

車の中で刑事の話を聞いていたマシュは

(何回、行っても一緒やで。うちのことを信用せん刑事やなぁ。それに、うちには名前があんねん。名前で呼んでほしいわ)

マシュとあくびちゃんや刑事たちは武田さんの家の裏へ歩いて移動すると、あくびちゃんがマシュをブロック塀の上に乗せました。

「もう一度、匂ってきてみてマシュちゃん。頼むわね」

マシュは昨日と同じように周辺の匂いを嗅ぎましたが、やはり武田さんの蔵にある二階の窓の下で匂いが途絶えています。

マシュは窓を爪でカリカリと引っ掛けて開けようとしましたが、鍵が掛かっているようで開きません。

窓の下で座り、あくびちゃんを見ると、彼女がマシュに向かって手招きをしています。