大急ぎで、俺は第2隊舎に辿り着いた。
場所は確か…調理室だったな。
一階食堂のすぐ隣が調理室だ。
「…!」
隊舎に入ってすぐ、俺は何かが焦げたような匂いを感じた。
そして、すぐに分かった。
これは、肉が焦げる匂いだ。
既に、戦いが始まってるらしい。
それなのに何故か、これと言った戦闘音は聞こえないが…。
とにかく、この目で見てみないことには分からない。
全速力で走って、調理室の方に向かうと。
青ざめた顔の魔導師達が、調理室付近に集まっていた。
…!
「お前ら!大丈夫か?」
彼らに向かって、俺が声をかけると。
「じゅ、ジュリス大隊長!」
「な、何とか…何とかしてください…!」
地獄に仏とばかりに、彼らは俺に縋るような視線を向けた。
「心配するな、少し下がってろ」
「は、はい…」
俺は、調理室を取り巻く部下達を、後ろに下がらせ。
焦げ臭い匂いの大元に向かって、歩みを進めた。
調理室は、もくもくと白い煙が上がっていて。
そこに、ベリクリーデの姿を見つけた。
「!ベリクリーデ!大丈夫か!?」
「?ジュリス?」
返事があった。
良かった、どうやら、まだ連れ去られてはいないようだな。
…ん?
煙ではっきりと見えないが、ベリクリーデ以外の人間…敵の…姿が、何処にもない。
いや、分からない。もしかしたら、迷彩魔法か何かで、姿を隠しているのかも…。
「…何処にいる?」
姿を隠して、奇襲を仕掛けようとしているのかもしれないが。
気配を気取れ。敵の位置を…。
すると。
「丁度良かった、ジュリス」
「ん?」
てこてこと近寄ってきたベリクリーデが、何故か珍しく嬉しそうな顔をしていることに気づいた。
お前、敵襲があったのに、何で笑っ、
「これ作ったんだよ。はい、ジュリス。ハッピーメリーバレンタインイヤー」
「…」
ベリクリーデの持つ、白い皿の上には。
消し炭に、ろうそくが一本、爪楊枝みたいに突き刺されていた。
…?
…。
「…」
たっぷり30秒ほど考えて。
認めたくはないが、俺はもしかして。
何か、とんでもない勘違いをしているのかもしれないということに、ようやく気づいた。
そして、次に何を言おうか考えた。
紛らわしいことすんな!とか。
敵襲かと思ったじゃねぇか!とか。
料理下手にも程があるだろ!とか。
しかし、出てきた言葉は。
「…色々混じってんだけど、今9月だぞ」
それだけだった。
自分でも予想以上に冷静で、逆にビビった。
場所は確か…調理室だったな。
一階食堂のすぐ隣が調理室だ。
「…!」
隊舎に入ってすぐ、俺は何かが焦げたような匂いを感じた。
そして、すぐに分かった。
これは、肉が焦げる匂いだ。
既に、戦いが始まってるらしい。
それなのに何故か、これと言った戦闘音は聞こえないが…。
とにかく、この目で見てみないことには分からない。
全速力で走って、調理室の方に向かうと。
青ざめた顔の魔導師達が、調理室付近に集まっていた。
…!
「お前ら!大丈夫か?」
彼らに向かって、俺が声をかけると。
「じゅ、ジュリス大隊長!」
「な、何とか…何とかしてください…!」
地獄に仏とばかりに、彼らは俺に縋るような視線を向けた。
「心配するな、少し下がってろ」
「は、はい…」
俺は、調理室を取り巻く部下達を、後ろに下がらせ。
焦げ臭い匂いの大元に向かって、歩みを進めた。
調理室は、もくもくと白い煙が上がっていて。
そこに、ベリクリーデの姿を見つけた。
「!ベリクリーデ!大丈夫か!?」
「?ジュリス?」
返事があった。
良かった、どうやら、まだ連れ去られてはいないようだな。
…ん?
煙ではっきりと見えないが、ベリクリーデ以外の人間…敵の…姿が、何処にもない。
いや、分からない。もしかしたら、迷彩魔法か何かで、姿を隠しているのかも…。
「…何処にいる?」
姿を隠して、奇襲を仕掛けようとしているのかもしれないが。
気配を気取れ。敵の位置を…。
すると。
「丁度良かった、ジュリス」
「ん?」
てこてこと近寄ってきたベリクリーデが、何故か珍しく嬉しそうな顔をしていることに気づいた。
お前、敵襲があったのに、何で笑っ、
「これ作ったんだよ。はい、ジュリス。ハッピーメリーバレンタインイヤー」
「…」
ベリクリーデの持つ、白い皿の上には。
消し炭に、ろうそくが一本、爪楊枝みたいに突き刺されていた。
…?
…。
「…」
たっぷり30秒ほど考えて。
認めたくはないが、俺はもしかして。
何か、とんでもない勘違いをしているのかもしれないということに、ようやく気づいた。
そして、次に何を言おうか考えた。
紛らわしいことすんな!とか。
敵襲かと思ったじゃねぇか!とか。
料理下手にも程があるだろ!とか。
しかし、出てきた言葉は。
「…色々混じってんだけど、今9月だぞ」
それだけだった。
自分でも予想以上に冷静で、逆にビビった。


