「皆が穫ってたって?」
「収容所仲間」
「収容所?」
「知らないの?私、ルーデュニアに来る前は、収容所にいたの」
何だと?
俺も、これで何かと人生長いから。
色んな場所で、色んな経験してきたが。
収容所人生とは、なかなかお目にかかれないぞ。
「何でそんなことになったんだ…?」
「んー、よく分かんない」
お前に説明を求めた俺が馬鹿だった。
「そこでねー、食べるものがなかったから。皆木によじ登って、どんぐり食べてた」
…。
そりゃあ、余程前時代的な、かつ非人道的な収容所だな。
「皆が争って食べてるから、美味しいのかと思って」
「…」
「ジュリスに、食べてもらおうと思ったの」
…そうですか。
「帰ったら、また木登りするから待っててね」
「いや要らねぇ。その気持ちだけ受け取っとくよ」
どんぐりもらっても、食べ方に困る。
何が嬉しくて、アク抜きから始めなきゃならんのだ。
「じゃあ、何なら欲しい?」
…。
「…欲しいものはないから、お前に大人しくしてて欲しい」
「…」
おい、何で黙るんだよ。
大人しくしてるつもりはないと。自由気ままにすると。そういう意思表示か。
それどころか。
「…あ、ジュリス見てー。柿の木だー」
人様の家の庭に生えてる柿の木を見て、てこてこ近寄っていくベリクリーデ。
あの野郎。
「ちょ、待てコラ!それ渋柿だし、そもそも人ん家のだろ!」
俺は、何かを見つける度に気を逸らし、とっとこ猪突猛進しようとするベリクリーデを、必死に止めながら。
長い長い道のりを経て、ようやく聖魔騎士団の隊舎に辿り着いたとき。
俺は、記念すべき本日十回目の溜め息を、盛大についたのだった。
…はぁ。
「収容所仲間」
「収容所?」
「知らないの?私、ルーデュニアに来る前は、収容所にいたの」
何だと?
俺も、これで何かと人生長いから。
色んな場所で、色んな経験してきたが。
収容所人生とは、なかなかお目にかかれないぞ。
「何でそんなことになったんだ…?」
「んー、よく分かんない」
お前に説明を求めた俺が馬鹿だった。
「そこでねー、食べるものがなかったから。皆木によじ登って、どんぐり食べてた」
…。
そりゃあ、余程前時代的な、かつ非人道的な収容所だな。
「皆が争って食べてるから、美味しいのかと思って」
「…」
「ジュリスに、食べてもらおうと思ったの」
…そうですか。
「帰ったら、また木登りするから待っててね」
「いや要らねぇ。その気持ちだけ受け取っとくよ」
どんぐりもらっても、食べ方に困る。
何が嬉しくて、アク抜きから始めなきゃならんのだ。
「じゃあ、何なら欲しい?」
…。
「…欲しいものはないから、お前に大人しくしてて欲しい」
「…」
おい、何で黙るんだよ。
大人しくしてるつもりはないと。自由気ままにすると。そういう意思表示か。
それどころか。
「…あ、ジュリス見てー。柿の木だー」
人様の家の庭に生えてる柿の木を見て、てこてこ近寄っていくベリクリーデ。
あの野郎。
「ちょ、待てコラ!それ渋柿だし、そもそも人ん家のだろ!」
俺は、何かを見つける度に気を逸らし、とっとこ猪突猛進しようとするベリクリーデを、必死に止めながら。
長い長い道のりを経て、ようやく聖魔騎士団の隊舎に辿り着いたとき。
俺は、記念すべき本日十回目の溜め息を、盛大についたのだった。
…はぁ。


