クレープに舌鼓を打った後。
「…」
「…?」
ベリクリーデの顔が、悲惨なことになっている。
口の周りに、チョコとカスタードと、溶けたバニラアイスがべっとり。
五歳の子供でも、もうちょっとお上品に食べるんじゃないか?
しかも、「私何か変なことした?」とでも言いたげに、本人はきょとんとしている。
もういっそ、このまま放っておいても良い気がするが。
このまま帰ってたら、隣を歩いている俺まで風評被害を受ける。
それは嫌だ。
従って。
「…ベリクリーデ、お前ハンカチは?」
「持ってない」
お前に、少しでも女の嗜み的なものを求めた俺が馬鹿だった。
仕方ない。
俺は、ポケットから自分のハンカチを取り出した。
「ちょっとじっとしてろ」
俺は自分のハンカチで、ベリクリーデの汚れに汚れた口の周りを拭いてやった。
全く、俺はこいつのお母さんかよ。
ハンカチの色、黒で良かった。
白かったら、チョコの色が染み付いて落ちないところだった。
「ほら、綺麗になったぞ」
俺のハンカチを犠牲にしてな。
「ありがとージュリス」
はいはい。
「美味しかったね、何て言ったっけ…さっきの、クレーンみたいな名前の食べ物」
「…クレープな」
クレーンって、お前。
「うん、それ」
「そんなに気に入ったのか?」
「うん。どんぐりより美味しかった」
何だって?
「何で比較対象がどんぐりなんだよ…」
ってか、どんぐり食ったことあるのか?
…そういえば。
下着問題で、忘れてたけど。
「お前朝、どんぐり拾いに木登りしてただろ。アホかお前。勝手に出歩くなって言っただろ」
その説教をするのを、危うく失念するところだった。
「でも、窓の外にどんぐりがなってるのが見えたから」
何でどんぐりが欲しかったんだ?
今日日、幼稚園児でもどんぐりくらいじゃ喜ばんぞ。
「ジュリスにあげようと思ったの、どんぐり」
何だと?
「…俺に対する嫌がらせか何か?」
「?」
そんなつもりはないらしい。
まぁ、この性格だからな。
嫌がらせされることはあっても。
自分から他人に対して、嫌がらせするような真似はしないだろう。
良くも悪くも、純真過ぎるのだ、こいつは。
純真と言えば聞こえは良いが、同時に世間知らずでもあるってことだからな。
少しくらいは、人の悪意というものを知っておいた方が、
と、思っていた矢先。
「ゴミ捨ててくるー」
「ん、あぁ…」
ベリクリーデは、くしゃくしゃに丸めたクレープの包み紙を持って立ち上がった。
ゴミ箱は目の前にあるので、迷うことはないはずなのに。
何故か、全く逆方向に歩き出した。
おい。
俺は心の中で、絶賛八回目となる溜め息をつき。
ベリクリーデを追いかけようと立ち上がった、
そのとき。
「ねぇ、そこの可愛いお姉ちゃん」
四人組の男達が、ベリクリーデを取り囲んだ。
「…」
「…?」
ベリクリーデの顔が、悲惨なことになっている。
口の周りに、チョコとカスタードと、溶けたバニラアイスがべっとり。
五歳の子供でも、もうちょっとお上品に食べるんじゃないか?
しかも、「私何か変なことした?」とでも言いたげに、本人はきょとんとしている。
もういっそ、このまま放っておいても良い気がするが。
このまま帰ってたら、隣を歩いている俺まで風評被害を受ける。
それは嫌だ。
従って。
「…ベリクリーデ、お前ハンカチは?」
「持ってない」
お前に、少しでも女の嗜み的なものを求めた俺が馬鹿だった。
仕方ない。
俺は、ポケットから自分のハンカチを取り出した。
「ちょっとじっとしてろ」
俺は自分のハンカチで、ベリクリーデの汚れに汚れた口の周りを拭いてやった。
全く、俺はこいつのお母さんかよ。
ハンカチの色、黒で良かった。
白かったら、チョコの色が染み付いて落ちないところだった。
「ほら、綺麗になったぞ」
俺のハンカチを犠牲にしてな。
「ありがとージュリス」
はいはい。
「美味しかったね、何て言ったっけ…さっきの、クレーンみたいな名前の食べ物」
「…クレープな」
クレーンって、お前。
「うん、それ」
「そんなに気に入ったのか?」
「うん。どんぐりより美味しかった」
何だって?
「何で比較対象がどんぐりなんだよ…」
ってか、どんぐり食ったことあるのか?
…そういえば。
下着問題で、忘れてたけど。
「お前朝、どんぐり拾いに木登りしてただろ。アホかお前。勝手に出歩くなって言っただろ」
その説教をするのを、危うく失念するところだった。
「でも、窓の外にどんぐりがなってるのが見えたから」
何でどんぐりが欲しかったんだ?
今日日、幼稚園児でもどんぐりくらいじゃ喜ばんぞ。
「ジュリスにあげようと思ったの、どんぐり」
何だと?
「…俺に対する嫌がらせか何か?」
「?」
そんなつもりはないらしい。
まぁ、この性格だからな。
嫌がらせされることはあっても。
自分から他人に対して、嫌がらせするような真似はしないだろう。
良くも悪くも、純真過ぎるのだ、こいつは。
純真と言えば聞こえは良いが、同時に世間知らずでもあるってことだからな。
少しくらいは、人の悪意というものを知っておいた方が、
と、思っていた矢先。
「ゴミ捨ててくるー」
「ん、あぁ…」
ベリクリーデは、くしゃくしゃに丸めたクレープの包み紙を持って立ち上がった。
ゴミ箱は目の前にあるので、迷うことはないはずなのに。
何故か、全く逆方向に歩き出した。
おい。
俺は心の中で、絶賛八回目となる溜め息をつき。
ベリクリーデを追いかけようと立ち上がった、
そのとき。
「ねぇ、そこの可愛いお姉ちゃん」
四人組の男達が、ベリクリーデを取り囲んだ。


