溜め息をついてたって、仕方ないので。
俺は、自室からアイロンとアイロン台を持ってきて。
くっちゃくちゃになったベリクリーデのシャツに、アイロンをかけていた。
…何故、俺がこんなことをやらなければならないのか。
女中か何か?
だって、みっともない格好で、隊舎をうろうろしてたら、だらしないだろ。
少なくとも俺は、見るに耐えん。
かといって、こいつに「自分でアイロンかけろ」と言っても無駄なことは分かっている。
前、やらせたことがあるからだ。
あまりにしわくちゃの制服を着ているものだから、「アイロンくらいかけろ」とやらせてみたら。
出来上がったのは、アイロンの形にこんがりといい加減に焼き上がった、アイロン模様の焦げシャツだった。
何なら、アイロン台まで火傷を負っていた。
どういう使い方をしたら、そういうことになるんだ。
説教してみたが、本人は何が悪かったのか、さっぱり分かってないご様子で。
きょとんと首を傾げているのだから、怒ろうにも怒れない。
お陰で、アイロン新調する羽目になった。
もう二度とこいつにアイロンは貸さんと心に決めて、代わりに俺がやってる。
「ジュリス」
「何だよ」
「もう着替えて良い?」
「今アイロンがけしてるから、ちょっと待ってろ」
「分かった。じゃあ、立ってるの疲れちゃったから、ベッドに座って待っ…」
「は!?馬鹿、座ったら汚れ、」
慌てて振り返るも。
「…もう座っちゃった」
「…」
お前は、自分が泥だらけ葉っぱまみれであることを自覚してないのか?
一瞬にして、真っ白だったはずのシーツが、泥にまみれて汚れた。
あの…馬鹿っ…。
「…?何か悪かった?」
「…いや」
もう何も言わねぇよ。
俺もな、放っとけば良いんだけど。あいつが汚れたシーツで寝ようが、葉っぱまみれのパジャマを着てようが。
放っとけば良いんだろうけど。
…分かってるのに放っておいたら、後味悪いだろうが。
もう良い。あの汚れたパジャマだって、洗濯しなきゃならないんだから。
ついでにシーツも洗えば良いだけだ。そう思おう。
俺は心の中で三度目の溜め息をつき、アイロンがけをして、パリッとしたシャツと制服を手渡した。
「ほら、出来たからこれに着替えろ」
「うん」
ベリクリーデは、シャツと制服を受け取るなり。
汚れたパジャマを、俺の目の前で、何の躊躇いもなく脱ぎ始めた。
勿論、ズボンもだ。
…。
「…お前には、少しくらい恥じらいというものはないのか?」
「?」
ないらしい。
仕方ないので、俺がくるりと背を向け、ベリクリーデが着替えるのを待つことにした。
しかし。
ベリクリーデは、恥じらいがないどころか。
「ジュリス」
「…何だよ」
「ブラジャーの紐、緩くなっちゃったから、直して」
ちょっとコンビニでおにぎり買ってきてよ、みたいなノリで。
とんでもないことを頼んできた。
俺は、自室からアイロンとアイロン台を持ってきて。
くっちゃくちゃになったベリクリーデのシャツに、アイロンをかけていた。
…何故、俺がこんなことをやらなければならないのか。
女中か何か?
だって、みっともない格好で、隊舎をうろうろしてたら、だらしないだろ。
少なくとも俺は、見るに耐えん。
かといって、こいつに「自分でアイロンかけろ」と言っても無駄なことは分かっている。
前、やらせたことがあるからだ。
あまりにしわくちゃの制服を着ているものだから、「アイロンくらいかけろ」とやらせてみたら。
出来上がったのは、アイロンの形にこんがりといい加減に焼き上がった、アイロン模様の焦げシャツだった。
何なら、アイロン台まで火傷を負っていた。
どういう使い方をしたら、そういうことになるんだ。
説教してみたが、本人は何が悪かったのか、さっぱり分かってないご様子で。
きょとんと首を傾げているのだから、怒ろうにも怒れない。
お陰で、アイロン新調する羽目になった。
もう二度とこいつにアイロンは貸さんと心に決めて、代わりに俺がやってる。
「ジュリス」
「何だよ」
「もう着替えて良い?」
「今アイロンがけしてるから、ちょっと待ってろ」
「分かった。じゃあ、立ってるの疲れちゃったから、ベッドに座って待っ…」
「は!?馬鹿、座ったら汚れ、」
慌てて振り返るも。
「…もう座っちゃった」
「…」
お前は、自分が泥だらけ葉っぱまみれであることを自覚してないのか?
一瞬にして、真っ白だったはずのシーツが、泥にまみれて汚れた。
あの…馬鹿っ…。
「…?何か悪かった?」
「…いや」
もう何も言わねぇよ。
俺もな、放っとけば良いんだけど。あいつが汚れたシーツで寝ようが、葉っぱまみれのパジャマを着てようが。
放っとけば良いんだろうけど。
…分かってるのに放っておいたら、後味悪いだろうが。
もう良い。あの汚れたパジャマだって、洗濯しなきゃならないんだから。
ついでにシーツも洗えば良いだけだ。そう思おう。
俺は心の中で三度目の溜め息をつき、アイロンがけをして、パリッとしたシャツと制服を手渡した。
「ほら、出来たからこれに着替えろ」
「うん」
ベリクリーデは、シャツと制服を受け取るなり。
汚れたパジャマを、俺の目の前で、何の躊躇いもなく脱ぎ始めた。
勿論、ズボンもだ。
…。
「…お前には、少しくらい恥じらいというものはないのか?」
「?」
ないらしい。
仕方ないので、俺がくるりと背を向け、ベリクリーデが着替えるのを待つことにした。
しかし。
ベリクリーデは、恥じらいがないどころか。
「ジュリス」
「…何だよ」
「ブラジャーの紐、緩くなっちゃったから、直して」
ちょっとコンビニでおにぎり買ってきてよ、みたいなノリで。
とんでもないことを頼んできた。


