こうして。
俺は不本意ながらも、令月と共に、園芸部の畑にやって来た。
イーニシュフェルト魔導学院に、園芸部が出来たのは去年のこと。
故に、俺はまだ園芸部の活動場所に、足を運んだことはなかった。
今日が初めてだ。
どうやら、何故かすぐりは園芸部に入り浸りのようなので。
多分すぐりの前世は、農家か百姓だったんだろう。
まぁ、生徒が自分で作った園芸部だ。
多分、育てやすいミニトマトとか、ラディッシュとか、その程度だろう…と、
思っていたら。
トマトどころじゃない。ナス、とうもろこし、枝豆、カボチャ、きゅうり、ピーマン等々。
普通に、本格的な畑が出来上がっていた。
これには、さすがの俺もちょっとびびった。
園芸部の部員って、あのツキナって子と、すぐりしかいないんだろ?
よく二人だけで、こんな立派な畑を作ったもんだ。
そりゃ、一日でも手入れを怠ったら大変だよ。
「畑だけじゃないよ。花壇も凄く綺麗に育ててあるから、丁寧に世話しないと」
と、令月。
「マジかよ…あいつら、魔導学院じゃなくて、農業学校行けば良かったのに…」
自分の生徒だが、思わずそう言ってしまうレベル。
「うっかり踏んだりしたら、『八千歳』に二時間は追い回されるから。気をつけてね、羽久」
「…」
マジで俺、すぐりを寝に帰らせるんじゃなかった。
危うく命落としそうなんだけど。
元『終日組』の暗殺者に、二時間追いかけ回されて。
逃げ切れる自信ないぞ。俺。
「と、とにかく…水やりすれば良いんだろ?」
「うん。でも野菜の種類によって、あげる水の量が違うんだって」
あー…えーと。
そういうのあるんだっけ?
「それと、同じ野菜でも、品種によっても育て方が違うから…」
「マジかよ…。職人じゃねぇか…」
魔導師やめて、農家としてやっていけそう。
いや、それでもこの程度じゃ、本職の農家には鼻で笑われるレベルなんだろうけど。
少なくとも、魔導学院の部活でやるレベルではない。
「僕も、さらっと教えてもらっただけだから。『八千歳』はもっと色んなこと知ってるよ」
「へぇ…」
「『八千歳』は凄いよね。学院に来て、まだ半年にもならないのに…。もうすっかり、学院に馴染んで。偉いなぁ」
「…」
じょぼぼ、とじょうろで野菜に水をやりながら。
ポツリと呟く令月。
…。
「お前も、ちゃんと馴染んでるじゃないか」
俺の目から見たら、お前も充分、立派なイーニシュフェルト魔導学院の生徒だぞ。
ただ、ちょっと風変わりだってだけで。
しかし、令月は。
「…」
しばし無言で、野菜に水をやり続け。
じょうろに二杯目の水を汲んでから、くるりとこちらを振り向いた。
「羽久」
「うん?」
「これ、こんなこと言ったら『八千歳』は怒るから、『八千歳』には言わないけど、羽久には言うよ」
「何を?」
「『アメノミコト』の頭領は、僕を贔屓して、『八千歳』のことはほとんど無視してたけど…。…それって、もしかして頭領にとっては、別にどっちでも良かったんじゃないかって。最近思った」
…!?
どっちでも良かった、って…。
俺は不本意ながらも、令月と共に、園芸部の畑にやって来た。
イーニシュフェルト魔導学院に、園芸部が出来たのは去年のこと。
故に、俺はまだ園芸部の活動場所に、足を運んだことはなかった。
今日が初めてだ。
どうやら、何故かすぐりは園芸部に入り浸りのようなので。
多分すぐりの前世は、農家か百姓だったんだろう。
まぁ、生徒が自分で作った園芸部だ。
多分、育てやすいミニトマトとか、ラディッシュとか、その程度だろう…と、
思っていたら。
トマトどころじゃない。ナス、とうもろこし、枝豆、カボチャ、きゅうり、ピーマン等々。
普通に、本格的な畑が出来上がっていた。
これには、さすがの俺もちょっとびびった。
園芸部の部員って、あのツキナって子と、すぐりしかいないんだろ?
よく二人だけで、こんな立派な畑を作ったもんだ。
そりゃ、一日でも手入れを怠ったら大変だよ。
「畑だけじゃないよ。花壇も凄く綺麗に育ててあるから、丁寧に世話しないと」
と、令月。
「マジかよ…あいつら、魔導学院じゃなくて、農業学校行けば良かったのに…」
自分の生徒だが、思わずそう言ってしまうレベル。
「うっかり踏んだりしたら、『八千歳』に二時間は追い回されるから。気をつけてね、羽久」
「…」
マジで俺、すぐりを寝に帰らせるんじゃなかった。
危うく命落としそうなんだけど。
元『終日組』の暗殺者に、二時間追いかけ回されて。
逃げ切れる自信ないぞ。俺。
「と、とにかく…水やりすれば良いんだろ?」
「うん。でも野菜の種類によって、あげる水の量が違うんだって」
あー…えーと。
そういうのあるんだっけ?
「それと、同じ野菜でも、品種によっても育て方が違うから…」
「マジかよ…。職人じゃねぇか…」
魔導師やめて、農家としてやっていけそう。
いや、それでもこの程度じゃ、本職の農家には鼻で笑われるレベルなんだろうけど。
少なくとも、魔導学院の部活でやるレベルではない。
「僕も、さらっと教えてもらっただけだから。『八千歳』はもっと色んなこと知ってるよ」
「へぇ…」
「『八千歳』は凄いよね。学院に来て、まだ半年にもならないのに…。もうすっかり、学院に馴染んで。偉いなぁ」
「…」
じょぼぼ、とじょうろで野菜に水をやりながら。
ポツリと呟く令月。
…。
「お前も、ちゃんと馴染んでるじゃないか」
俺の目から見たら、お前も充分、立派なイーニシュフェルト魔導学院の生徒だぞ。
ただ、ちょっと風変わりだってだけで。
しかし、令月は。
「…」
しばし無言で、野菜に水をやり続け。
じょうろに二杯目の水を汲んでから、くるりとこちらを振り向いた。
「羽久」
「うん?」
「これ、こんなこと言ったら『八千歳』は怒るから、『八千歳』には言わないけど、羽久には言うよ」
「何を?」
「『アメノミコト』の頭領は、僕を贔屓して、『八千歳』のことはほとんど無視してたけど…。…それって、もしかして頭領にとっては、別にどっちでも良かったんじゃないかって。最近思った」
…!?
どっちでも良かった、って…。


